「可愛い妻へ、私はほとんど墓の向こうから書いている」
ロシア軍は、地下シェルターのどこに負傷者がいるのか、病院があるのかを知っていて、その場所を狙って爆撃してきた。そのため負傷者は新しい傷を負って命の危険にさらされた。夫は幸いにも負傷を免れたが、爆発音で耳はあまり聞こえなくなっていた。夫が5月7日にテレグラムで送ってきたメッセージにはこう書かれている。
「可愛い妻へ、私は大丈夫。生きているし、動いている。残念だけど良いニュースはこれだけだよ。私は、ほとんど墓の向こうから書いている。アゾフスターリ製鉄所を包囲する輪がきつくなっている」
「私たちは人間としてみなされておらず、ゴミ、第2、第3のランクの人間として扱われている」
軽傷の兵士は必要な薬がなく、暗闇の中で手術され、死んでいった。現在、ロシアとウクライナの間で遺体の交換が進められている。
「ロシアは核兵器を保有し、全世界を危険にさらしています。世界がこの怪物に自由を与えたら、私たちはこの暗闇と闘わなければならないでしょう。21世紀最大の殺人は、戦争ではなく、犯罪であることを世界中に知らせたい」
ロシア軍が2時間に500発の爆弾と40発のロケット弾を使えば、アゾフスターリ製鉄所を完全に破壊できただろうと夫はナタリアさんに話した。しかしロシア軍は十分なロケット弾を持っていなかった。もう一つの選択肢であるウクライナ兵や民間人に“拷問”を与える戦術を選んだ。いつ死が訪れるのかは誰にも分からなかった。