63歳の誕生日には「人民日報」社説から痛烈批判

 さらに翌2016年6月15日、習主席の63歳の誕生日の時は、「中南海」(北京の最高幹部の職住地)が騒然とした。その2日前に、中国で絶対的権威を持つ共産党中央機関紙『人民日報』で、「トップのあるべき姿とは」と題した社説が掲載されたからだ。

<あるトップは、自分がナンバー1だと勘違いして、職場を自分の「領地」に見立てて、公権を私権に変えてやりたい放題だ。(中略)このような唯我独尊的な権力の保持は、大変危険であり、そのようなトップは往々にして、「哀れな末期」を迎えるものだ……>

「あるトップ」が誰を指すかは、一目瞭然だった。

 こうしたことが続き、第19回中国共産党大会を4カ月後に控えた2017年の誕生日からは、「水も漏らさぬ厳戒態勢」が敷かれるようになった。そのおかげもあってか、ここ5年ほどは「平穏無事」な6月15日を迎えている。

69歳の誕生日には…

 そこで、再び5年に一度の共産党大会を数カ月後に控えた、2022年の6月15日である。

 この日、動いたのは習近平主席の側だった。「軍隊非戦争軍事行動綱要(試行)」なる指令を施行したのである。新華社通信(6月13日付)は、こう報じている。

<中央軍事委員会主席習近平は先日、「軍隊非戦争軍事行動綱要(試行)」に署名し、命令、発布した。2022年6月15日から施行する。

「綱要」は、習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想による指導を堅持し、習近平強軍思想を深く貫徹する。総合的な国家安全観を堅持し、リスクや挑戦を有効に見定め、防止し解決していく。突発事件に応対し処置していく。国民の生命と財産の安全を保護し、国家の主権、安全、発展する利益を維持、保護していく。世界の平和と地域の安定を維持、保護していく。