2019年9月、新型潜水艦を視察した際の金正恩氏(提供:KCNA/UPI/アフロ)

(朴 承珉:在ソウルジャーナリスト)

〈この布告に違反する行為が特に過度な者は、死刑に至るまで厳罰に処し、同居する家族は移住・追放させる〉

 これは北朝鮮の社会安全省(警察庁に該当)が全国の住民に回覧させている「布告」の一部だ。

 北朝鮮の当局は、新型コロナウイルス感染者が広まるというデマを厳重に防いでいるという。

デマ拡散に関与した者には「無慈悲に懲罰すること」

「社会安全省は先月29日、全国に布告を下し、『国内での新型コロナウイルス伝播に関するデマを流布する人は、その職務と所属、功労にかかわらず戦時法に基づいて厳格に処理する』と警告しました」(新義州の消息筋)。

 さらに同省は布告で、現在の新型コロナウイルス状況を「戦時と同様の国難」と定義した。

 筆者は、6項目からなる「非常防疫事業を阻害するデマを流布する行為を絶対にしないことについて」というタイトルの「布告」全文を入手した。

 その内容を見てみると、「我が党と政府は今日の防疫大戦で世界の保健史が気づかない全国民的抗争で伝染病伝播状況を迅速に抑制管理し、保健危機を逆転させ、全国的な範囲で確固たる勝勢を保障している」と、新型コロナウイルス感染が収まりつつあるかのように主張していた。