台湾有事で米軍の軍事的支援を阻止できる

 ソロモン諸島が中国の軍事拠点になれば大ごとだ。ソロモン諸島は沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線や伊豆・小笠原諸島からグアム、パプアニューギニアに至る第2列島線の外側にある。中国は、西太平洋で絶大な影響力を誇る米国をこの地域から追い出したいという長期戦略を描いている。

左の赤線が第一列島線、右の赤線が第二列島線(DoD, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で)
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 英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)アジア太平洋上級研究員のユアン・グラハム氏は「ソロモン諸島に海軍基地があれば台湾有事の際、米軍の軍事支援を阻止するために利用できる」とIISSサイトへの寄稿で指摘している。中国はその意図を明確に否定している。

 グラハム氏によれば、ソロモン諸島が2019年に国家承認を台湾から中国に切り替えてから、中国はソロモン諸島の金権政治に関与してきた。両国の協定案が漏洩した直後、この地域の安全保障提供国を自負するオーストラリアは新しい支援パッケージと漁業保護のため2隻目の巡視船をソロモン諸島南東部テモツ州に配置する計画を明らかにした。

 ヘンダーソン氏は「中国は何十年も太平洋の経済的・政治的影響力拡大に関心を示してきた。フィジーやトンガにも注目してきた。中国とソロモン諸島の協定はまさしくそれを狙ったものだ。場合によっては、ソロモン諸島は中国に乗っ取られ、軍事的に利用される懸念がある。米国が動き始めたのは安心材料だが、かなり遅すぎた面は否めない」と語る。