阿寒富士(左)と雌阿寒岳(筆者撮影)
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 連載の初回に、許可銃の犯罪について触れた。許可銃とは、銃の所持許可を持つ個人が所持する銃のこと。許可銃による犯罪とは、許可銃がひとりでに行動して犯す罪ではもちろんない。許可を受けた個人が、本来の目的(射撃場での標的射撃や狩猟)から逸脱し、許可された銃を不正に使用することである。令和4年1月にふじみ野市で起きた医師射殺事件は記憶に新しいところだ。

 このような事件とは別に、許可銃には「業務上過失致死・致傷」となる事案がある。狩猟中に誤って人を撃ってしまい死傷させた場合だ。

*〈連載第一回記事〉女性戦場カメラマンと呼ばれた私が「エゾ鹿撃ち」になった理由(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69113

前途有望な林野庁職員の死

 近年では2018年11月20日、北海道恵庭市の国有林で林野庁の職員がハンターに誤射され死亡するという痛ましい事故が起きた。ハンターは「業務上過失致死」で逮捕された。世間に衝撃を与えた事件だったが、その後の行政の対応も、われわれハンターにとって衝撃的だった。

 林野庁北海道森林管理局(以下、当局)はその後、道内国有林における狩猟を2019年の3月末まで禁止・制限するという異例の対応に出たのだ。当時、当局が公表した北海道猟友会長宛ての要請文書には、「狩猟者に対して、一歩間違えば人を殺傷してしまう危険な猟具である猟銃を扱っているという責任の重さを今一度自覚し、関係法令と狩猟ルールに照らして、もう一度自らの行動を省みる機会としてもらうため」と、この措置の目的が記されている。

 私にも罪のない職員の方が亡くなられたことはとても悲しく、悼む気持ちはあった。誤射したハンターを非難する気持ちもあった。だから林野庁北海道森林局の言いたいことはわかる。

 ただ当時は猟期の真っただ中だ。誤射したハンターとは全く無縁の北海道のハンターや、北海道の雄大な大自然の中で猟を楽しみにしていた道外のハンターたちは巻き添えを食ったと言ってもよい対応だった。ハンターだけに完全な“流れ弾”にあたったと言えようか。悲しかったのは、安全確認を十二分にしながら狩猟をしているハンターたち全員が、逮捕されたハンターと同じ程度の技能とモラルしかないと受け止められているように感じたことだった。

 だが、師匠の反応は冷静だった。

「まあ、他にも撃てるとこあるから。そっち行くべ~」

 たしかに禁止されたのは国有林だけで、そこでしか狩猟ができないわけではない。民有林など狩猟可能な場所もあるので、ハンターたちは粛々と状況を受け入れ狩猟していたのだった、というかそうするほかなかったのだった。

 見ず知らずのハンターが犯した罪の連帯責任を負わされたことに今でも納得はいかないのだが、撃たれた本人の無念さ、遺族の悲しみと絶望を思いながら、理不尽さを飲み込むハンターが多かった。