おじさんも見た目が9割
筆者は、子ども(小学生)をダシに、おじさんのアルバイトがいるのかどうか、都内で名前の知られた中学受験塾の見学に行ってみた。
体験授業と説明会に参加してみたが、塾長ともう一人の算数講師以外におじさんはいない。どちらのおじさんも説明会でガッツリ話していたから、「バイトのおじさん」ではなさそう。あとの講師は20代30代くらいの若い人ばかり。明らかに若い雰囲気の講師は、どっかの有名大学のアルバイトだろう。副業アルバイトおじさんなんていないじゃん……。
大手から小規模な塾まで、いくつかの学習塾で教室長や塾長を勤めてきたという、50代男性に話を聞いてみると、そのナゾが解けた。
「学習塾とひとくくりに言っても、小学生が通う中学受験塾と、中学生のための塾は別業種だと思った方がいいです。小学生が通う中学受験塾は、サラリーマンが副業アルバイトでできるような仕事ではありません。学習内容も大学受験より難しいくらいです。かなり勉強しないとできませんから、授業は社員や有名大出身の専任講師がやるケースが多い」
Fさんがアルバイトをしていたのは、中学生向けの補習塾のようなところだから、副業おじさんでも勤められたということか。この塾長によれば、中高年がアルバイトするなら、小中学生向けの補習塾か、個別指導塾のようなところがおすすめだという。
「特に個別指導塾は勉強が苦手なお子さんが通ってくるので、誰でもできると思います。個別指導は生徒3人を1人で見るような体制なので、講師もたくさん必要ですし、どこも人手不足で困っていますから。中高年男性でアルバイトしている方はちょこちょこいますね。本業をリタイアされた方もたまに来ます」
個別指導塾はここ10年くらいで急速に増えた業態だ。一つの教室をパーティションでいくつも仕切り、手元の小さなホワイトボードで、子どもの進度に合わせて個別に勉強を教えるスタイルである。
この塾長に、どのような人が塾講師に採用されやすいかも聞いてみた。
「出身大学がGMARCH(ジーマーチ)以上とか、そういう学歴は全然気にしていません。ハッキリ言って、採用の決め手になるのは見た目です!カワイイ、カッコいい、清潔感は大事。汚い人は子どもに好かれませんから。もちろん中高年も同じ。フケが肩にたまっているなんて言語道断です」