予想外だった期末テストのプレッシャー

 そして、担当したのは中学1~2年生の中くらいのレベルのクラスの英語。土曜日の夕方の16~19時までの2コマを受け持った。1コマ90分授業で、報酬は2000円だ。

「中学校の英語は基本レベルですから、教えるのは難しくなかった。ただ、板書内容や授業で使用する問題は予習が必要なので、授業以外に2時間くらい取られます。そうなると、実質の時給は1000円以下になるでしょうね。でも、おじさんを使ってくれるバイトはそんなにありませんから、納得はしていました」

 土曜日にスーツに着替えて出かけるFさんを見て、家族は不思議に思わなかったのだろうか。

「妻も娘も、趣味や仕事、塾や部活に忙しいんですよ。私も土曜日は仕事のような顔をして出かけていました。もともと忙しい仕事でしたから、特に怪しまれることはなかったです」

 Fさんは自分の英語力が生かせる点と、子どもたちの役に立てる点から、塾講師の仕事にやりがいを感じたという。ただ、教え子の中間テストや期末テストの結果を気にし出すと、徐々に負担を感じるようになった。

「学校の定期テストは、教えた結果がダイレクトに出ます。もちろん点数が上がると、自分のモチベーションも上がりますが、次回はもっと上を目指さなくてはならず、さらにプレッシャーがかかる。テスト期間中は、ソワソワとして生きた心地がしませんでした」

 Fさんは生徒たちの成績を上げるために、質問やフォローアップなども丁寧に対応してきた。

「正直、1コマ2000円は、このプレッシャーの対価として見合うのかなと思いました。子どもたちの役に立ちたいという気持だけでは成立しないなと」

 こんな重たい仕事を、わざわざ副業でやるおじさんがいるのだろうか。Fさんと同じ曜日にも、アルバイト風のおじさん講師がもう一人いたそうだ。当たり障りのない会話しかしなかったので、数学を担当していたこのおじさん講師の本業は不明。

「たぶん自分と同じように、副業しているんだと思いますよ」