中高年男性が貧困より恐れているもの

 週に1度とはいえ、飲食店はハードな仕事だ。体に負担はないのかと聞くと、「居酒屋のバイトは夕方の17時~23時ごろまでと一日中働くわけではありません。それに、本業はほとんどリモートワークですから、アルバイトは運動不足が解消されていい」という。

 また独身のCさんにとって、リモートワークになった平日に加えて、週末まで一人で過ごすのは、心理的に負担だったようだ。

「コロナ前は週末に友人と飲みに行くことも多かったのですが、今はそれもなくなりました。こういう時は家でじっとしているよりも、体を動かしているほうが楽です」

 Cさんはアルバイトを選ぶ時、郊外にある暇そうなお店より、都心にある賑やかで忙しそうなお店を選んでいる。暇なお店だと手持無沙汰で、時間の経過が長く感じられるからだという。

 人間関係のしがらみを避けながら、やっぱり人と関わりたいと考えているCさん。どこか寂し気な笑顔を浮かべる彼と話をしながら、「中高年の男性が一番恐れているのは、お金がないことより、孤独になることかもしれない」と感じた。