ロシア寄りの姿勢を見せる中国の習近平国家主席(写真:新華社/アフロ)

 ウクライナを舞台にしたロシアのプーチン大統領による「核の恫喝」に、国際社会が揺さぶられている。差し迫った脅威に際し、日本でも核を巡る議論が飛び交い始めた。

 世界は、核の悲劇をいかに防ぐのか。日本は、自国の安全をどう保つのか──。第2次安倍政権で国家安全保障局次長や内閣官房副長官補を歴任し、今年3月に共著『核兵器について、本音で話そう』(新潮新書)を上梓した兼原信克氏に話を聞いた。後編では、台湾有事の現実味と核共有を巡る議論を読み解く。(聞き手、河合達郎、フリーライター)

※前編「プーチン氏による小型核兵器の先制使用、国際社会は止められるか」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69616)から読む

──ロシア寄りの立ち場を見せる中国ですが、習近平国家主席はロシアの戦いぶりをどう見ているでしょうか。

兼原信克氏(以下:兼原):
中国は、決して好んでロシア寄りというわけではありません。共通の敵である米国が困るのはいいことだから、気持ちちょっとロシア寄り、というのが本音です。カザフスタンへの影響力など、相反する利益も抱えています。

 ただ、今回、出現した西側の団結には恐怖を感じていることでしょう。近年は、トランプ氏の登場で西側の足並みが乱れ、これからは中国の時代だと確信して、西側を侮っていたのだと思います。

 ところが、西側が結束すれば、経済はおよそ中国の2.5倍に上ります。軍事面でも中国の正面は日本とオーストラリアくらいですが、NATO(北大西洋条約機構)軍はかなり大きい。今回、改めて、西側全体を敵に回すと怖いとの認識を強めたのではないでしょうか。

──台湾有事の現実味についてはどう考えますか。