(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト)

 テレビ番組の「孤独のグルメ」、主人公の井之頭五郎の決め台詞に「おれはこういうものでいいんだよ」というのがある。そういう意味で、わたしも五郎派である。

 世評の高低に惑わされず、また値段の高低にもかかわらず(ほとんどは安いが)、ある店でひとつの料理がうまいと感じると、「ああ、これで文句なし」と決め、それだけを食べつづけるというヘキがある。だから店に入って迷うことがない。席に着いたら即座に注文ができるのである。

 たまには他のメニューにしてみるかとか、もっとうまいものがあるかもしれない、などと考えることはあまりない。例えば「紅虎餃子房」のジャコ炒飯(あれは最高にうまかった。なぜかなくなってしまった)や、東京・神田にあった洋食店「ジロー」のメンチカツ・魚フライがそうだった(こっちは店自体がなくなってしまった)。

 昼は1年365日、ほとんど外食である。五郎のように昼に何千円も使うわけにはいかない。どのみち、そんなに食べられない。基本は1000円以内である。行くのは大概B級グルメの宝庫、格安のチェーン店である。

 その際、気を付けていることは塩分である。2年ほど前からCRE値(クレアチニン値)が基準値の1.08mg/dlを超えるようになったのである。腎臓の機能低下を示すもので、まだそれほど深刻なほどではないが油断はできない。数値が8mg/dlを超えると人工透析ということになる。それはいやである。しかもこの数値は下がることがないという。

 そのため塩の摂取量はいちおう、一日6g(朝1g、昼2g、夜3g)を目安としている。それゆえ、うどん、そば、ラーメン、みそ汁などのスープ類は、2口ほどしか飲まないようにしている。その際は、「腎臓に良い食べ物と食習慣 塩分の多い外食メニューランキング」(https://jinzo.ougonritu.net/)というネット記事を参考にしている。

 ではわたしがよく行く店とメニューを挙げてみよう。だいたい行く頻度が多い順である。