必要は発明の母

 また、通常のものであろうと即席のものであろうと、手榴弾はもう手で投げる必要がない。

 広く使われている4枚羽根のヘリコプター「オーテル・エボII」のような小型の民生用ドローンも利用できる。

 こうしたドローンに手を加えると、操縦者が命令した時に手榴弾を投下させることもできるし、目標まで飛行させて到達した時に爆発させることもできる。

 旧ソ連時代のRKG-3をはじめとする対戦車手榴弾も、ドローンで使えるように改造されている。

 この種の手榴弾には減速用のパラシュートが付いているため、投下されると目標の戦車の天板――装甲厚が最も薄い部分――にほぼまっすぐに落ちていく。

 しかし、こうしたパラシュートのせいでドローンから正確に投下することが難しくなるため、ウクライナのウクロボロンプロムという武器メーカーはパラシュートを取り除き、代わりに垂直安定板を付けている。

 ドローンにはほかにも使い途がある。

 ウクライナ国防省は国民に対し、ドローンを飛ばしてロシア軍を見つけるよう促している。ドローンはGPS座標を常時送信しているため、ドローンから見えるものの位置をピンポイントで特定することは容易だ。

 キエフの店舗ではドローンが売り切れ、ボランティアが外国から持ち込もうとしていると伝えられる。

 戦争が長引き、包囲された都市に届けられる通常型の武器・弾薬が減る事態になれば、即席の手段による防御の役割が拡大することは間違いない。

 ほかの戦争でも、それが起きた。

 例えばシリアでは、即席の飛び道具がシリコンゴムのチューブを用いたパチンコ(投石器)から、爆薬や爆弾の破片を詰め込んだガスボンベを発射する「地獄の大砲」へと進化を遂げていった。

 戦争は汚れた行為だ。だが、必要は発明の母なのだ。