特に目立つ高度な即席兵器
さらに、空き瓶に液体を入れることよりも高度な専門技術が駆使された即席兵器がウクライナ全土で作られている。
専門家の間で「手作り兵器」と呼ばれるこれらの武器は、既存の銃などの改造品であることがほとんどだ。
ジェンセンジョーンズ氏によれば、ウクライナの戦闘では2種類の兵器が特に目立っている。
1つ目はロシア製の対戦車ロケット擲弾発射機「RPG-7S」の改造品だ。オリジナルは肩に担いで使う安価で丈夫な発射機で、非誘導式のロケット擲弾に用いる。
だが、その弾頭は軍用車両の装甲板を撃ち抜くように設計されており、そのため歩兵隊の攻撃には不向きだ。
この問題点を解決するため、ウクライナ東部での紛争(2014年に始まり、そのため最近のロシアによる侵攻のずっと前にさかのぼる)では、にらみ合う双方の非正規部隊がRPG-7Sを改造し、破片弾頭を仕込んだ82ミリ迫撃砲弾を発射できるようにした。
ジェンセンジョーンズ氏が指摘した2つ目の兵器は、「ハッタブカ」と呼ばれる手榴弾だ。
この名称はアフガニスタンやチェチェン、ダゲスタン、タジキスタンで戦ったサウジアラビア人ジハード(聖戦)主義者のイブン・アルハッターブにちなんだものだ。
ハッタブカは通常の擲弾発射機用に設計された砲弾から作られている手榴弾だ。
砲弾から着発信管を抜き取り、通常の手榴弾で使われているタイプのピンで作動させる時限信管に置き換えて製作する。
混乱した戦地においては、部隊に信管はあるがそれに適した手榴弾がないことがままあることから、これは有用なイノベーションだ。