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(英エコノミスト誌 2022年3月12日号)
ウクライナで勝てないことが分かるにつれ、ウラジーミル・プーチンはロシア国内での圧政に傾斜している。
ウラジーミル・プーチン大統領はウクライナ侵攻を命じた時、ロシア帝国の栄光を取り戻すことを夢見ていた。
しかし思惑通りにことは運ばず、ヨシフ・スターリンの恐怖を復活させることになった。
欧州では1939年以来となる正当な理由なき猛攻撃を始めただけでなく、その結果としてロシアの独裁者に変身しつつあるからだ。
過去に例のないほど嘘と暴力を多用し、パラノイア(偏執症)にとらわれている21世紀のスターリンの誕生だ。
真っ赤な嘘と非道な暴力
プーチン氏の嘘の甚だしさを理解するために、今回の戦争がどのように計画されたか考えてみよう。
大統領は、ウクライナはすぐに陥落すると思っていた。
そのため侵攻に際して自国民に心の準備をさせたり、任務に臨む兵士に覚悟をさせたりしなかった。実際、エリート層に対しては、戦争は起きないと確約していた。
戦場で悲惨な2週間が過ぎた今でも、プーチン氏はまだ、欧州では1945年以来の大戦争になるかもしれない戦闘を自分が行っていることを否定している。
そしてこの真っ赤な嘘がバレないようにするために、独立系のメディアをほぼすべて閉鎖し、ジャーナリストに対しては当局による嘘の発表をそのまま報じなければ最長15年の懲役刑が待っていると脅しをかけ、反戦デモの参加者を数千人単位で逮捕させている。
さらにロシアの国営テレビは、プーチン氏の軍事「作戦」はウクライナの非ナチス化だと主張することで、ロシアの再スターリン化を進めている。
次に、プーチン氏の暴力志向を理解するために、この戦争がどのように戦われているか見てみよう。
素早い勝利を手に入れられなかったため、ロシアはウクライナの都市を兵糧攻めにし、無差別に爆撃してパニックを引き起こそうとしている。
3月9日には東部マリウポリの産婦人科・小児科病院を攻撃した。
もしプーチン氏が、手記で褒めたたえたスラブ人の仲間に対して戦争犯罪を行っているのであれば、自国で大量殺戮を働くことも厭わないはずだ。