体制内部の派閥が互いに反目し、責任をなすりあうようになる。クーデターを恐れるプーチン氏は誰も信じず、権力保持のために戦わざるを得なくなるかもしれない。
さらに、化学兵器や核攻撃をも使ってウクライナの敵を脅し、西側のウクライナ支援者を追い払うことで戦争の形勢を変えようとする可能性もある。
行く手の危険を抑制するためにすべきこと
世界は状況を見守りつつ、将来の危険の抑制を目指すべきだ。真実を育むことでプーチン氏の嘘を暴かなければならない。
西側のハイテク企業がロシア事業を閉鎖するのは誤りだ。情報の流れをプーチン政権に完全に掌握させることになってしまうからだ。
また、ウクライナからの難民を受け入れている国の政府は、ロシアからの移住者も受け入れるべきだ。
NATOはウォロディミル・ゼレンスキー大統領率いるウクライナ政権に武器を供給し続け、大統領が真剣な交渉に入る時が来たと判断した場合には同氏を支えることによって、プーチン氏の暴力を――少なくともウクライナでは――抑えることに一役買える。
また、世界経済に負担を負わせることになるとしても、より素早く大規模なエネルギー制裁を推し進めることで、プーチン氏への圧力を強めることもできるだろう。
そして、西側はプーチン氏のパラノイアの封じ込めを試みることもできる。NATOは、先制攻撃を受けない限りロシア軍に発砲しないと明言すべきだ。
飛行禁止区域は設定してはならない。設定すれば軍事力の行使が必要になり、ロシアに戦線拡大の理由を与えてしまう。
ロシアの新政権を西側がいくら熱望するとしても、体制転換を直接企てないと明言しなければならない。解放はロシア国民自身の仕事だ。
世界を味方につけるウクライナ大統領
ロシアが沈むなか、隣国の大統領との対比が際立っている。
プーチン氏は孤立し、道徳的にはまさに死に体だ。片やゼレンスキー氏は勇敢な「普通の人」で、国民や世界各地から支持を集めている。
ゼレンスキー氏はプーチン氏に対するアンチテーゼだ。そして、ひょっとしたら歯が立たない強敵なのかもしれない。
「21世紀のスターリン」から解放された時に、ロシアがどんな国になるか考えてみるといい。