東京でもロシアのウクライナ侵略に反対するデモ行進が行われた(3月5日、写真:AP/アフロ)

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(英エコノミスト誌 2022年3月5日号)

ロシア大統領は核の脅しを口にしながら、何が何でもウクライナで勝利すると誓っている。

 ウクライナの勇壮と不屈の精神に驚嘆するといい。戦争の最初の数日間、ウラジーミル・プーチンの軍事力は、攻撃を仕掛けた相手国の勇気を前に萎えた。

 プーチン氏の侵略に直面し、ウクライナの国民は、自分の運命は自分で選ぶべきだという理念のために死ぬ覚悟があることに気づいた。

 シニカルな独裁者にとっては、これは理解不能に違いない。残る人類にとってはインスピレーションだ。

 2月終わりの勇敢な振る舞いだけで戦闘を終結させられたらいいのだが、残念ながら、ロシアの大統領はそう簡単に撤退しない。

 プーチン氏は最初から、これが「エスカレーション」の戦いであることを明確にしていた。汚く、潜在的に破滅的な現実を表す婉曲的な言葉だ。

 最も残虐なレベルでは、エスカレーションは、世界が何をしようとも、プーチン氏がさらに暴力的、破壊的な態度を強めることを意味している。

 本人いわく、たとえそれが核兵器を用いることを意味したとしても、だ。

 このため、自分がナイフを研ぎ、虐殺に取り掛かる間に世界は手を引けと主張している。

ウクライナをなめていたプーチン大統領

 そのような後退があってはならない。なぜなら、ウクライナを見捨ててその運命に委ねることが間違っているだけでなく、プーチン氏がそこでやめないからだ。

 エスカレーションは麻薬だ。もしプーチン氏が今日勝てば、次に麻薬を打つ場所はジョージア(グルジア)やモルドバ、あるいはバルト諸国になる。

 同氏は誰かに阻止されるまで、やめない。

 エスカレーションがこの戦争の要(かなめ)となるのは、それが敗北を勝利に変えようとするプーチン氏の手口だからだ。

 ウクライナ侵攻の第1波は、作戦を計画した徒党と同じくらい腐っていた。先にウクライナを丸め込もうとしたプーチン氏の努力もそうだった。

 同氏はどうやら、自分が侵略した領土は本当の国ではないという自分自身のプロパガンダを信じ込んだようだ。

 お粗末なヘリコプター攻撃と軽武装の部隊による急襲で始まった最初の攻撃は、内部崩壊する敵を想定して練られていた。