対照的に、2月28日に科された最新の制裁は通貨ルーブルを暴落させ、ロシアの金融システムを機能不全に陥らせるだろう。今回の制裁は効果的だ。破壊的だからだ。

 エスカレーションの危険は、これがいとも簡単に、極端に走る意思と力が最も大きいのは誰かというテストになってしまうことだ。

 近年の戦争は非対称だった。

 国際テロ組織アルカイダと過激派組織イスラム国(IS)はどんな残虐行為でも働いたが、力が限られていた。

 米国は地球を破壊することができたが、アフガニスタンのタリバンのような敵に対しては、米国にその意思があるとは誰も思わなかった。

 ウクライナの侵略は違う。

 なぜならプーチン氏はアルマゲドンまで突っ走ることができ、その覚悟があることを世界に信じてもらいたがっているからだ。

 プーチン氏が戦術核兵器を使うことは考えにくいが、あり得ないことではない。何しろ、隣国を侵略したばかりだ。このため、世界はプーチン氏を抑止しなければならない。

プーチンを抑止できるか?

 一部には、文明を破壊するかもしれないスパイラルを引き起こす結果になるとすれば、ウクライナを救うことに意味はないと言う人もいるだろう。

 だが、これは間違った選択肢だ。

 プーチン氏は、北大西洋条約機構(NATO)を旧ワルシャワ条約機構加盟国から追い出し、米国を欧州から追い出したいと話している。

 もしエスカレーションがプーチン氏の目的にかなうとすれば、次の対立は一段と危険になる。プーチン氏は今度ばかりは、西側が立場を堅持すると信じないようになるからだ。

 一方で、プーチン氏は正気ではなく、抑止は絶望的だと結論する人もいるかもしれない。

 確かに、同氏の目的は許しがたく、その目的を達成する手段も忌まわしい。また、プーチン氏はロシアの真の国益など考えていない。

 だが、それでも権力については理解しており、権力を維持する方法も知っている。脅しの言葉に敏感なのは間違いない。

 対照的に、手遅れになる前にプーチン氏を止めなければならないと言って、エスカレーションを絶とうとする人もいるだろう。