熱海市伊豆山地区の海岸に近い場所の赤色立体地図を拡大してみると、階段状の住宅地が続いていることがわかる。(写真:アジア航測の公開データの一部を拡大・2021年7月6日計測赤色立体地図)

(山根 一眞:ノンフィクション作家)

【熱海市伊豆山地区の災害で被災した皆様にお見舞いを申し上げ、亡くなられた方々のご冥福をお祈りしています。】

 災害発生時に大きな使命を担ってきた「赤色立体地図」だが、考古学でも欠かせないツールになっている。2020年6月に発表され大きな関心を集めたマヤ文明最古かつ最大の公共建築、アグアダ・フェニックス遺跡(メキシコ、タバスコ州)の発見もそのひとつ。アリゾナ大学教授、猪俣健さんを調査団長とするチームが手にした成果だが、赤色立体地図の発明者であるアジア航測の千葉達朗さんはこの仕事でも協力を行っていた。

航空レーザ測量と地上探査データをもとに猪俣教授が作成したアグアダ・フェニックス遺跡の3Dイメージ。(出典:同遺跡の国際調査団チームの一員で茨城大学教授、青山和男さんの成果を伝える茨城大学のホームページ)

 私は、2015年に中米グアテマラでのマヤ文明遺跡の盛衰を探る「年縞」の調査に同行、調査チームの一員である大阪市立大学准教授、原口強さんに現地で「航空レーザ測量」による「赤い地図」を見せてもらった経験がある(注:本記事ではアジア航測の表記に沿ってレーザーを「レーザ」としている)。その「赤い地図」は、アジア航測の千葉達朗さんが発明した赤色立体地図だった。

グアテマラのマヤ文明、セイバル遺跡を調査中の大阪市立大学准教授、原口強さん(右上)。密林内にクルマを停車。周囲は森林しか見えなかったが、原口さんがPC画面に表示したそのエリアで得た航空レーザ測量による赤色立体地図には、肉眼では見ることができない樹木に覆われた遺跡が多々表示され驚いた。(撮影:山根一眞)
拡大画像表示