(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
7月12日、東京都に4度目の新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が発令された(期間は8月22日まで)。7月23日に開幕する東京五輪や盆休み期間の人の流れを抑え、全国への感染拡大を防ぐ狙いがある。
政府は7月中に人口の4割が少なくとも1回のワクチン接種ができることを柱に感染対策を進めてきたが、東京都の1日当たりの感染者が900人を超えたことで「予防的な発令を行うしかない」と判断したとされている。
しかし都内の繁華街を行き交う人々の反応は冷ややかである。うんざりとした表情を浮かべ、「納得できない」「もう気にしない」とする声が相次いでいる。「これまでの対策を繰り返すだけで実効性が上がるのか」と懸念する風潮も強まっている。
新型コロナウイルスのパンデミックが生じてから1年以上経ち、国内外で様々な知見が得られた現在、筆者は「これまでの対策をレビューすべき時期にきているのではないか」と考えている。効果のない対策をマンネリで続けているだけでは国民の不満が高まるばかりで、真に有効な対策もおざなりになってしまうからである。