(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
米WTI原油先物価格は7月に入って荒い値動きとなっている。1バレル=76.98ドルと6年8カ月ぶりの高値を付けた後に下落し、72ドル台で推移している。7月初めに開催されたOPECとロシアなどの非加盟の主要産油国で構成されるOPECプラスの協議が不調に終わったからである。
OPECプラスは昨年(2020年)5月以降、コロナ禍による世界の原油需要の急減を受けて日量970万バレルの協調減産を開始した。状況が安定するにつれて減産幅が縮小され、7月の減産幅は日量約580万バレルとなっていた。
今回の会合を前にOPECの実質的な盟主であるサウジアラビアとロシアの間で「OPECプラスの協調減産の規模を8月以降、今年12月にかけて毎月、日量40万バレルずつ縮小する」ことで合意していた。このためOPECプラスの会合は平穏無事に終了すると思われていた。しかしその矢先に、アラブ首長国連邦(UAE)が反旗を翻したことから、合意が暗礁に乗り上げてしまったのである。
今回のOPECプラスの会合は異例だった。当初7月1日の開催予定だった会合は2日に延期されたが、合意に至らなかったことから5日に再開する予定だった。だが、合意成立の見込みがないことから結局取りやめとなってしまった。次回の日程は未定のままである。
UAEの反対にサウジアラビアは猛反発
OPECプラスの合意の障害となっているUAEは7月4日、「8月以降の減産規模縮小は支持するものの、協調減産を2022年4月以降も継続すべきかについては決定を別の会合に先送りすべきだ」との考えを示した。だが、最も不満に思っているのは「自国の減産の割合が大きすぎる」ことである。