7月6日、アジア航測が朝日航洋と共同で撮影した伊豆山土石流発生源の斜め空中写真。(写真提供:アジア航測、<2021年7月6日撮影・熱海伊豆山地区の崩壊(1)>の一部を拡大)

(山根 一眞:ノンフィクション作家)

【熱海市伊豆山地区の災害で被災した皆様にお見舞いを、亡くなられた方々のご冥福をお祈りしています。】

 2021年7月3日午前10半頃に発生した熱海市伊豆山地域の大規模土石流では、死者9日、行方不明19人という大きな犠牲者が出た(7月10日現在)。その原因は、土地開発業者による不適切な盛り土にあることが明らかになりつつある。

 災害発生からの1週間、ドローンによる現場映像や写真が多々伝えられてきたが、災害発生直後はどこで何が起こったのかはわからないままだった。一方、災害の発生直後からSNSの数人のグループが報道の速報写真や映像を手掛かりに「現場」や「原因」の意見交換を始めていた。その中で、「このあたりですかね」と、土石流の発生場所を「赤色立体地図」上に示した専門家がいた。千葉達朗さんだ。

土石流の発生から14時間後に「鳥瞰図 南より」とだけ書いて千葉達朗さんがSNSにアップした赤色立体地図。大規模に盛り土された場所(崩壊場所)にマークが入っていた。
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【本記事は多数の図版を掲載しています。配信先で図版が表示されていない場合はJBpressのサイト(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66010)にてご覧ください。】

 私は、その情報をもとに当該地をGoogle Earth(試験運用版)の地形図の仮想動画で見ていた。これは、上空から旋回撮影したかのような立体動画を見ることができる、新技術による地図だ。自治体やマスコミなどは現地の映像や写真を次々に公開し、盛り土の崩落後の様子、被害の状況は引き続き報じられている。

アジア航測は天候の回復を待ち7月6日に朝日航洋と共同で伊豆山土石流災害地域の一部の斜め空中写真撮影を実施し公開。「弊社技術が、現地の詳細解明ならびに二次災害の抑制に少しでもお役に立てば幸いです」と記している。赤色立体地図も公開した(次回に紹介)。(写真提供:アジア航測  <トップ写真の元画像>)
アジア航測が朝日航洋と共同で撮影した伊豆山土石流発生エリアの斜め空中写真。テレビで繰り返し放映された視聴者撮影の土石流が下る映像の現場が黄色丸印部分。下はその拡大。(写真提供:アジア航測 <上・写真番号8293、反乱状況・左岸から、下・その部分拡大>)
アジア航測が朝日航洋と共同で撮影した伊豆山土石流発生エリアの斜め空中写真。手前が山側でここから300m先が海岸だ。東海道新幹線の上り下り列車の線路下を土石流が通過したことがわかる。新幹線線路と並行している上の線路は東海道本線(上)。(下)は上の写真の拡大。もし土石流の勢いがより大きく通過中の在来線や新幹線列車を直撃していれば脱線転覆し多数の死傷者が出たおそれがあったことがうかがえる。このことはまったく報道されていないのだが。(写真提供:アジア航測 <写真番号8252、東海道新幹線・東海道本線の高架橋付近、下・その拡大図>)