李承晩を「親日売国」と切り捨てる危うい歴史認識
李在明氏が敵対視するのは日本や米国だけではない。自国の指導者や過去についても容赦ないのだ。
かつて李在明氏は李承晩(イ・スンマン)元大統領を「親日売国勢力の父」と主張したことがある。
2017年、前回大統領選挙の候補選考に登録した後に国立顕忠院を訪れ、金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)元大統領の墓だけを参拝して、李承晩、朴正煕元大統領の墓は素通りした。その際に「李承晩元大統領は親日売国勢力の父、朴正煕は軍事クーデターで国政を破壊し、人権を侵害した独裁者だった」と述べたのだった。
「李承晩が親日売国奴だった」という発言は日本人には理解しがたい。なにしろ李承晩は1952年1月18日、一方的に「李承晩ライン」を宣言し、このラインが撤廃されるまでの13年間、日本漁船を328隻拿捕し、3929人を抑留し、その際の死傷者は44人を数えた。さらに李承晩ラインの内側に竹島を入れ、韓国による竹島実効支配を既成事実化した人間である。日本人の感覚からすれば、李承晩は最も反日国粋主義の大統領である。
一方、朴正煕は「漢江の奇蹟」を成し遂げ、今の大韓民国の繁栄の礎を築いた指導者である。その人物までを否定する。「漢江の奇蹟」を否定するのは文在寅氏と共通するが、大韓民国の歴史を正当に評価できず、歴史歪曲を続ける人物が今後大統領となっても大韓民国のためになるとはとても思えない。