6月29日、韓国大統領選への出馬を表明した尹錫悦・前検事総長

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長が、ついに韓国の大統領候補として行動を起こした。

 今年の3月4日、文在寅(ムン・ジェイン)政権による「検察無力化」に抗議して検事総長職を電撃辞任して以降、これまで政治活動に対する明確な立場を明らかにしてこなかった尹氏が、6月29日、最高検察庁があるソウル市瑞草区(ソチョグ)の『尹奉吉記念館』で、「必ず政権交代を実現しなければいけないという切実な思いでこの席に立った」と、来年3月に予定されている大統領選挙への出馬を公式に表明したのだ。

文政権批判に大半を費やした出馬表明演説

 検事総長を辞めた時から、最も有力な次期大統領候補として国民の支持を集めてきた尹氏の出馬表明会見の現場は異様な熱気に包まれていた。記者会見には72社ものメディアと25人の国会議員が詰めかけ、さらに会見場の外には数百人の支持者が集まって「尹錫悦大統領」を連呼するという大盛況ぶりだった。

記者会見場の外で詰めかけた支持者らにもみくちゃにされる尹錫悦氏(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

 会見場の舞台に上がった尹氏は直接作成したという「出馬の意向」を読み上げたが、15分ほどの演説文の半分以上が文在寅政権に対する批判だった。