こうした主張を聞いていると李在明氏は反日政策の推進だけでなく、在韓米軍の撤収をも求め出すのではないかと危惧される。まさに「アメリカを信じるな。ソ連の奴らには騙されるな。日本はかならず再起する。注意せよ!」の思想に染まり切っているかのようだ。

 だがこれまで、北朝鮮の攻撃から韓国を守って来たのは誰か。朝鮮半島にとっての脅威は何か。今後日米との関係をどうすべきか。そうした韓国にとっての最も基本的な安全保障問題に対し、極めて危険な思想を持っている候補者であると断じざるを得ない。

野党が李在明氏の歴史認識を一斉に批判

 こうした李在明氏の主張に対して、韓国内からも大きな批判が巻き起こっている。中心となっているのは野党、特に次期大統領選挙に立候補している人々だ。

 最大野党「国民の力」は李在明氏に対して「公開討論」を呼びかけた。

 元喜龍(ウォン・ヒリョン)済州道知事は、「米国が占領軍でありソ連が解放軍であれば、われわれは米国ではなくソ連の側に立つべきだったというのか」「李知事が語った『新しい大韓民国』とはまさかロシア・中国・北朝鮮と手を結ぶ国を意味するのか」と批判した。

 劉承ミン(ユ・スンミン)元国会議員は「李知事が確立するという『新しい国』は反米・反日の国なのか」と疑問を投げつけた。

 呉世勲(オ・セフン)ソウル市長も「衝撃的な歴史観だ。国民の分断に歴史を利用する様子は嘆かわしい」と述べた。

 もちろん野党系の最有力候補・尹錫悦前検事総長も批判の声を上げた。自身のフェイスブックに「自虐的な歴史歪曲、絶対に許せない」という見出しをつけて、「光復会長の『米軍は占領軍、ソ連軍は解放軍』という荒唐無稽の妄言を、政権勢力の次期有力候補の李在明知事も受け継いでいる」「大韓民国の正統性を否定し、歴史の断片だけを強調して脈絡を無視する勢力は、国民が成し遂げた成果に寄生するだけにとどまらない。大韓民国を誤った理念に追従する国家へと変えようとしている」と主張した。さらに尹前総長は「大韓民国が米国の植民地だと主張する北朝鮮の認識と変わりない」と自信の陣営関係者に語ったとも伝えられている。

 これまで韓国の歴史論争というのは、日本の歴史認識を批判することが中心になっていたように思う。そうした歴史認識問題が大統領選挙の争点になることは好ましいことでないが、政権を握ってから露わにされるよりはよほどいい。大統領選に向けた動きの中で、今回の歴史論争はしっかりやってもらい、李在明氏の歴史認識がいかに異様か暴き出してもらいたいものだ。