英国南西部のコーン​ウォールに政府専用機で到着した菅義偉首相(2021年6月11日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

G7サミットで「力強い支持」など得ていない

 菅義偉首相は、G7サミット(先進7カ国首脳会議)が閉会した6月13日、記者会見で「各国首脳から東京オリンピック・パラリンピックの開催に、力強い支持を得た」と語った。だが本当にそうだろうか。

 G7の声明は、「新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の結束の証しとして、今年の夏に安全・安心な形で、開催するという日本の決意を支持する」と述べているに過ぎない。支持されているのは、「安全・安心」に開催しようという「日本の決意」なのだ。アメリカのバイデン大統領も、「あらゆる公衆衛生上の対策をした上で進めていくことを支持する」と述べているだけである。「力強い支持」をしたのは、3年後にパリ五輪が決まっているフランスのマクロン大統領くらいのものだった。

 片方でG7サミットでは、発展途上国への10億回分のワクチン提供を決めた。世界中でパンデミックは終わっていないというのがG7の認識ということだ。このパンデミック下でオリンピック・パラリンピックを開催するというのは、どう考えてもあり得ない。

気味の悪い展開になってきた

 半月ほど前までは、五輪の開催か中止かということが焦点になっていた。どの世論調査でも中止・再延期が圧倒的に多かった。それが、開幕日が近づくにつれて、微妙に変化してきている。