(3)筆者コメント
新型コロナウイルス感染症の発生から1年半以上にわたり数百万匹の動物を検査したにもかかわらず中間宿主動物が発見されていないということは、中間宿主動物の媒介説は否定されたと見るべきである。
他方、上述したように研究所からの流出説を裏付ける状況証拠はたくさんある。しかし、あくまで状況証拠であり、直接証拠でない。
元研究所職員の証言や作業命令書あるいはウイルス研究所の研究者の通院記録・カルテなどの直接証拠があれば、中国も研究所からの流出を認めざるを得ないであろう。
それでも中国は認めないかもしれない。しかし、それでもいい。今は、将来のコロナウイルス感染症の発生を防ぐために、発生源の特定が重要である。
また、複数の科学者からの新型コロナウイルスが人為的に作られたとする科学的根拠が示されている。
ここで取り上げた2つの論文以外にも新型コロナウイルスが人為的に作られたとする論文が複数公表されている。
しかし、人為的に作られたことが決定的なものであったとしても、そのウイルスがどこかの実験室で人為的に作成された証拠にはなるかもしれないが、武漢ウイルス研究所の実験室で作られたという証拠にはならない。
中国は、米軍が新型コロナウイルスを中国に持ち込んだと主張している。
中国人研究者閻麗夢博士が保有しているとほのめかす中国疾病統制センター(CDC)と現地の医師らから得ているという新型コロナウイルスが武漢の実験室で作られたことを立証する科学的根拠の公開を待ちたい。
いずれにしても、中国の協力なしでは、新型コロナウイルスの発生源は特定できないことは明白である。
中国は、最低でも、WHO実施する科学的調査を妨害しないこと、できれば武漢ウイルス研究所の実験室への立ち入り・査察を認めることが、世界第2位の経済大国・中国の果たすべき国際的な義務であろう。