――ミエコさんのケースならば、片木さんはどのようにアドバイスされるでしょうか。

片木 初発の卵巣がんの時に私の運営するスマイリーに相談することもできたでしょうが、やはり乳がんになった2回目の時が相談したり、告白するタイミングだったでしょうね。その時点で親戚にお母さんの世話や、自分がつらい時のサポートを相談しておけば、ミエコさんもお母さんも、親戚の方々も負担が少なかっただろうと思います。元気な間に告白するチャンスを逃したまま苦戦になっていくと、頼みたい相手の負荷がどんどん増えて、余計に言いづらくなります。

おひとりさまの財産管理は

――ミエコさんは高齢のお母さんと二人暮らしで、お金の管理も担っていたようでした。突然、残された家族はそういう財産などの管理にも困ることになりますね。

片木 「終活」をきちんとして旅立つ方もおられます。独身で身寄りのないまま亡くなったある患者さんは、マンションを所有しておられました。余命の告知を受けてから、元気なうちにマンションの売却や財産、家財道具をどうするかなどを信頼できる弁護士さんを探して依頼し、遺言書もすべて用意されていました。

 ただ、これは患者さんがある程度元気なうちでないとできませんし、本人が死が近いことを自覚していないと難しいものです。ミエコさんのように、すぐに帰ってくるつもりで入院して、そのまま亡くなってしまうと、守りたかったはずの人が困ることになります。家族や親族には、心情的なものだけでなく実務的なことを考える機会や時間も必要なので、誰かに告白するタイミングを逃さないでほしい。友人や同僚など、やや関係性が薄い人でも「キーマン」を作っておいて、お金の管理や生活のことを相談したり、頼めるようにしてもいいと思います。そういうキーマンに少しでも話しておけば、弁護士など専門家につないでもらったり、手伝ってもらうことができるでしょう。

 天涯孤独な人もいますし、残り少ない人生を誰にも左右されたくない人もいますが、自分が生きてきて持っているものや財産などは、死んだ後にどうしても残ります。その行方まで心配したまま、最期に向かっていくのもつらいのではないでしょうか。