これからの「おひとりさま患者」

――さまざまなタイプの「おひとりさまのがん患者」が増えていくと思うのですが、患者や関係者にどんなサポートがあればいいと思われますか。

片木 がん患者さんには、人生の交通整理をしてくれる存在が必要だとよく感じます。たとえば仕事やお金のこと、自分に関わる人たちのことを一緒に考えて整理してほしいのです。さらに弁護士など専門家につないでくれると助かります。身内や知り合いにお願いするよりも、お金を払って赤の他人にサポートされた方が気楽でありがたいかもしれません。病気の知識が多少あって、あわてず騒がず、干渉しすぎずに話を聞いてくれたり、サポートしてくれる存在があるといいなと思います。

 がんの種類や治療の内容によって患者さんの状況は違いますが、細々とした困りごとはたくさんあります。書類の記入が難しい、役所の手続きや通院の付き添い、その間だけ子どもの面倒を見てほしい人もいます。シングルマザーで乳幼児のいる患者さんなど、本当に大変なのです。そういう時に、がんという病気や治療のことを知っている人によるサポートがあれば、心強いでしょう。

 私は患者会で活動する中で相談を受けていますが、私ひとりですべてをカバーすることは不可能ですし、自分もSOSを発する日がくるかもしれないとも思います。そんな時に「おひとりさま」であっても、事情や気持ちをわかってサポートしてくれる「赤の他人」にお金を払って頼めたら、「迷惑をかける」と思わずにすむかもしれません。家族など近しい関係者ではない「頼める人」が増えたら、充実したおひとりさま患者でいることも可能になるのではないでしょうか。

【片木美穂さんプロフィール】
30歳のときに卵巣がんと診断され手術と抗がん剤治療を受ける。2006年、海外で卵巣治療に承認されている抗がん剤が日本で承認されていない問題を解決するべく患者会を設立し、抗がん剤承認に導いた。現在は「卵巣がん体験者の会スマイリー」代表として卵巣がん患者への情報提供や相談支援などの活動を行なっている。2010年に日経ウーマンオブザイヤー注目の人、2019年にIGCS(国際婦人科がん学会)において2019 IGCS Distinguished Advocacy Awardを受賞。