1月13日、緊急事態宣言の対象を11都府県に拡大することを発表した菅義偉首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 この国の首相は、1週間ごとに言うことが変わる。

「緊急事態宣言については尾身会長からも、今は緊急事態宣言を出すような状況ではない、こうした発言があったことを私は承知しています」

 菅義偉首相が記者会見でそう発言して、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発出を否定していたのは、昨年12月25日のことだった。同席した新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も、発出には否定的な見解を示していた。あれからまだ1カ月も経っていない。

一週間で方針大転換

 ところが、その1週間後の昨年12月31日に、東京都の新規感染者が1337人と、はじめて1000人を超えると、年明けの2日には東京、埼玉、千葉、神奈川の知事が揃って政府に緊急事態宣言の発出を要請。それを受けるように、7日には1都3県に緊急事態宣言の発出を決定して、会見でこう述べている。

「先ほど新型コロナ対策本部を開き、緊急事態宣言を決定いたしました。対象は東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県であります。期間は1カ月です。第1に飲食店の20時までの時間短縮、第2にテレワークによる出勤者数7割減、第3に20時以降不要不急の外出の自粛、第4にスポーツ観戦、コンサートなどの入場制限であります」

「私たちは、この1年間の経験で多くのことを学んできました。大事なのは、会話をするときは必ずマスクをお願いする。さらに外食を控えて、テレワーク7割、夜8時以降の不要不急の外出の自粛、特にこの3点を徹底していただければ、必ず感染を抑えることはできると考えております」

 そう聞けば、誰だって午後8時以降の活動自粛に重点が置かれていると思うはずだ。