前回はなぜ米国発の「21世紀型大恐慌」が起きるのかのさわりを述べた。全体像は「21世紀型大恐慌」(PHP出版、今月の10日過ぎ出版予定)に述べている。
今回のコラムの目的は、日本に対する警告である。
私は悲観論者ではない。プロの作家でもない。金融と世界経済の経験者として事実を検証し、大事だと思うことを発信することで国民として日本と世界に「ご恩返し」したい、といういささか古めかしく、口にするには気恥ずかしい気持ちから警告するのである。
2008年9月のリーマンショックの後は、世界でも日本でも「大恐慌が来る」という論調が有力であった。
しかし、私は2009年2月に出版した「太陽経済」(朝日新聞出版)の第1章に「戦前型大恐慌が起きない理由」を明示した。
その後、私が指摘した理由にほぼ沿う形で米国も日欧中も大恐慌を回避することに成功した。リーマンショックの震源地の米株式は今や史上最高水準にある。
しかし、新型コロナウイルスという世界的な外生ショックは、ことに米国という偉大な国家の、経済や金融の仕組みはもちろん、「国のかたち」が本源的に持つ弱点(どの国にもそうした本源的な弱点はある。人も同じだろう)を見事に抉り出して、米社会の分断を加速した。
それが露わになるのが今週の大統領選挙になるだろう。
米国の経済を代表するものが国債であり為替であり株価である。そのいずれもが経済ファンダメンタルと比較すると「大暴落」の要素を満載している。
いつ大暴落してもおかしくない、まさにその時、米国大統領は長期にわたって未決定、不在となるかもしれない。
つまり、大暴落対策の「司令塔」が不在になるかもしれない。