新型コロナ禍で世界の金融の中心地、ウォール街は大ダメージを受けることになる

 新型コロナウイルスによって世界経済に深刻な影響が出ている。

 2020年4月時点で世界各国に起きた現象は、今後2030年までに起きると思われた様々なリスクを前倒して出現させたと考えている。

 すでに始まっている米国の株、債券、為替の全面暴落など、戦後75年間の経済システムにとって初めての巨大な危機となる可能性がある。

 そのため、崩壊する時のシナリオ、また、そうした事態は1929年の大恐慌以来となるため、歴史の教訓と解決策の研究が急務となる。

コロナドミノ=超低金利に限界

 現在の米国の金利はゼロに近い。しかし、少し歴史を遡ると全く違う姿が見えてくる。

 1970年代以降の米国は、貿易赤字と財政赤字が急速に拡大した。巨額の財政赤字は国債を発行することで賄ってきたが、国債金利は上昇を続け、80年代初めには20%に達していた。

 1980年に誕生したロナルド・レーガン政権は、最大の貿易黒字国である日本とドイツに対して「金融自由化」による米国債購入という強い圧力をかけ、1985年のプラザ合意によって「国際的な金融協調」と日独両国による米国債の大量購入が制度的にも確立された。

 2000年代以降には、世界最大の貿易黒字国となった中国からも米国債購入の動きが始まった。

 米国債金利は10%以下となり、政府も民間も資金調達コストは大きく低下し、米国経済の復活と成長を金融面で支えた。