そうした考えに立つならば、戦争や安全保障、軍事を研究し、その成果をもとに平和を維持・発展させる方策を考究することこそが大切であり、一意的に軍事関係の研究を排除してきた学術会議の声明は、同法の趣旨にも反しているといわなければならない。

 また、学術会議は内閣府の一機関であり、特別職の国家公務員である。

 このことからも、国家の存亡や日本の安全などの国家の基本問題についてタブー抜きに科学的な理論研究や技術研究を極める推進役となって、国家・国民の生存と福祉に資することが義務付けられているのではないだろうか。

防衛には国家の最高技術が欠かせない

 憲法9条で日本は「侵略戦争」を放棄し、軍隊も交戦権も保有しないとしている。

 日本から戦争を仕掛けることはあり得ないが、尖閣諸島に見るように、いつ何時外国が日本の領土を奪いにこないとも限らない。

 そこで、「守り」は必要となる。そのことを日本では「専守防衛」という言葉で表現している。

 冷戦時代までは戦争と言えば、主として戦車や軍艦、戦闘機などを装備した第一線部隊による戦いであった。

 したがって、「戦争を目的とする科学の研究」と言えば、こうしたハード兵器につながる研究が主体で、これらの成果が、民生技術に生かされ、インターネットやGPSなどの発展を促してきた。

 しかし、その後のエレクトロニクスの著しい発展によって戦争の様相が変革した。

 ハード兵器のぶつかり合いから、その前段階の情報収集・分析や指揮・通信能力に依存する状況になってきた。

 さらに今日では宇宙、サイバー、電子戦が多用され、そうした分野の優劣が勝敗を瞬時に決するに至っている。

 いうなれば、ハード兵器が戦火を交える前に情報機能が潰され、通信妨害で部隊を指揮できず、敗戦に追い込まれる状況が出現してきた。

 このようにして、今日では情報理論やIT技術などの民生主体に生まれた革新技術が軍事に活用されるという両用技術(デュアル・ユース)の時代に移行している。