全国的に感染者が増え続けている中でのGo To キャンペーンは、まさに「アクセルを踏みながらブレキーをかけるようなもの」だ。感染防止と経済回復、それぞれの効果はいかほどになったのか。(写真:AP/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 今年は終戦から75年の節目にあたる。その夏を前に、「Go To トラベル・キャンペーン」を巡って二転三転する政府の混乱ぶりと、ここへきての新型コロナウイルスの感染者の急増は、75年前に日本を敗戦へ導いた太平洋戦争の道程に重なって見える。それも日本の戦局を大きく変えたミッドウェー海戦の失敗そのものに映る。

コロナを巡る混乱と無謀さ、まるでミッドウェー海戦ごとし

 新型コロナウイルス感染拡大によって落ち込んだ景気の押し上げを目的に、国内旅行の料金の半分を国が補助する「Go To トラベル」は、そもそも8月から実施される予定だった。それがどういう次第か、7月10日になって、国土交通省が4連休前の22日からはじめると発表。14日には参加事業者に感染防止対策を義務付ける方針を示している。

 ところが、時を同じくして東京都では9日から4日連続で新規感染者が200人を超え、翌週も3日連続200人台後半で推移するなど過去最高を更新すると、16日になって東京発着の旅行をキャンペーンから除外すると表明。翌17日には、赤羽一嘉国土交通大臣が、東京除外によるキャンセル料は補償しないとした。

 しかし、これまた4日後の21日になると、同じ大臣の口からキャンセル料の補償を実施すると発表された。その翌日からキャンペーンに入ったものの、小池百合子東京都知事は連休中の外出自粛を都民に呼びかけている。

 しかも、連休初日の23日には、東京都の新規感染者が366人と突出した数字が公表された。新規感染者の増加傾向は東京に留まらず、大阪府でも連日100人を超えるなど、全国的に感染者が増大している。