寝床は多少高価でも納得いくものを選ぶ

 カフェイン、タバコ、アルコールといった嗜好品とともに、夜遅い食事にも注意が必要です。

 食事が遅いと、まだ胃の中に食事内容や胃液が残っている状態で横になるので、重力の影響が無くなり、それらが胃の中から食道に逆流してしまいます。

 もともと食道の壁は胃液に耐えられるようにはできていないので、逆流した胃液によって炎症を起こしてしまうのです。

 これを「逆流性食道炎」と呼びます。

 食事や胃液が夜中にこみ上げてくる感覚で目覚める人、朝起きると胸やけがひどい人は、逆流性食道炎の可能性があります。食事をとってから少なくとも3時間はあけてから床に就くように注意しましょう。それでも改善しない場合は、医療機関の受診をお勧めします。

 最後に、就寝時の環境づくりについてです。

 カーテンをしっかり閉める、じゅうたんを敷く、音の出るもの(時計など)は避けるといった、遮光、防音を意識しましょう。寝具は体にフィットし、好みに合うものを選びましょう。寝床は、1日のおよそ1/3~1/4を過ごす場所なので、多少高価であったとしても、しっかり納得がいくものを選ぶべきだと思います。

 盲点になりがちなのは室内の温度と湿度です。

 温度は高すぎても低すぎてもダメで、いずれにおいても覚醒に傾き、深いノンレム睡眠やレム睡眠が減少することが報告されています(6)。温度と湿度に関しては、天気予報などに合わせて、できればタイマー付きのエアコンなどで調整するのが望ましい。 

 しかし、ベッドパートナーがいる場合は注意が必要です。適度と感じる温度と湿度は個人差がかなりあります。あまりにも乖離している場合は、むしろ寝室を別にする方が良いのかもしれません。

 生活習慣、環境づくりも一筋縄ではいきませんが、「身体が快適であること」が良い睡眠にダイレクトにつながるので、その点を意識して工夫をするようにしてみましょう。

【参考文献】

(1) Inoue S, et al. Does habitual physical activity prevent insomnia? A cross-sectional and longitudinal study of elderly Japanese. J Aging Phys Act 2013;21:119-139 。

(2) Zhang L, et al. Cigarette smoking and nocturnal sleep architecture. Am J Epidemiol 2006;164:529-537 。

(3) Jaehne A, et al. Effects of nicotine on sleep during consumption, withdrawal and replacement therapy. Sleep Med Rev 2009;13:363-377

(4) Mennella JA. Short-term effects of maternal alcohol consumption on lactational performance. Alcohol Clin Exp Res 1998;22:1389-1392. 

(5) Tanigwa T, et al. Usual alcohol consumption and arterial oxygen desaturation during sleep. JAMA 2004;292:923-925

(6)『健康づくりのための睡眠指針2014』厚生労働省