全国人民代表大会の記者会見に出席した李克強首相(2020年5月28日、写真:新華社/アフロ)

(澁谷 司:JFSS政策提言委員・アジア太平洋交流学会会長)

 今年(2020年)5月28日、中国の李克強首相は、全国人民代表大会の記者会見で「昨2019年、中国人の平均年収は3万元(約45万円)だった」と公表した。だが、一方で、「中国には月収1000元(約1万5000円)の人が6億人もいる」と明かしたのである。

 月収1000元ということは、年収1万2000元(約18万円)にしかならない。この月収では、1キロ30元(約450円)以上もする肉は食べられない。また、中小都市の1カ月分の家賃にもならないだろう。

 一般に、貧困は「絶対的貧困」と「相対的貧困」とに分けられる。世界的には、「絶対的貧困」は1日当たり1.90米ドル(約205円)以下の収入とされる。月収にすると57米ドル(約6150円)、年収は684米ドル(約7万3800円)である。