緒方洪庵が江戸後期に大坂・船場に開いた私塾「適塾」(筆者撮影)

(柳原 三佳・ノンフィクション作家)

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、国から「接触機会8割削減」という目標が発表されました。

 あと1カ月、自宅の中でいかに時間を過ごすか・・・、不安を感じながら、いろいろと計画を立てている方も多いことでしょう。

 そんな中、TBSは人気ドラマ『JIN-仁-』の再編集版を、今月18日から3週連続で放送することを発表しました。

(参考)『JIN-仁-』大沢たかお呼びかけ「神は乗り越えられる試練しか与えない(4.11/オリコンニュース)

 TBSのサイトからこのドラマのあらすじを一部抜粋します。

『突如、幕末へタイムスリップした現代医・南方仁。麻疹、コレラ、梅毒など、江戸の世に巣食う恐るべき病やケガに、現代の医療知識を武器に立ち向かう!!』

 タイムスリップ・・・、現実にはあり得ないストーリーですが、ドラマには佐久間象山、緒方洪庵、松本良順、勝海舟、坂本龍馬、近藤勇などなど、当時活躍した実在の人物が続々と登場します。

 そして、大沢たかお演じる主人公「仁先生」の魅力が、CGで再現された江戸の町のリアルな風景や時代考証によってさらに引き立てられ、自分自身が幕末にタイムスリップしたように引き込まれていく・・・、そんなドラマです。

 何より、幕末の医師たちが、目に見えない感染症に向き合い、命を懸けて闘うシーンは、今、まさに新型コロナウイルスの脅威に直面している私たちに新たな勇気や感動を与えてくれそうな気がします。

佐久間象山に蘭学教授したのは佐野鼎の同僚だった

 さて、ドラマの中で「仁先生」がタイムスリップした幕末は、まさに「開成をつくった男、佐野鼎(さのかなえ)」が活躍した時代そのものでした。

 そして、このドラマに登場する歴史上の人物たちは、実は佐野鼎のすぐそばにいたのです。

 そこで今回は、佐野鼎が加賀藩の学問所「壮猶館(そうゆうかん)」に勤めていた頃の同僚で、後に「近代医療の祖」とも呼ばれた医師・黒川良安(よしやす)という人物の足跡を辿ってみたいと思います。