平時のマンハッタンとセントラル・パーク

(柳原 三佳・ノンフィクション作家)

 新型コロナウイルスの感染拡大が、世界各国で深刻化しています。

 爆発的に感染者が増えたアメリカのニューヨークでは、すでにロックダウン(都市封鎖)が行われ、市民の憩いの場であるはずのセントラル・パークには、慈善団体「サマリタンズ・パース」によって、急遽、テントによる感染者用の臨時病院が開設されたそうです。

「ロイター」(2020.4.1)によれば、

『サマリタンズは、ハイチの地震やフィリピンのサイクロン発生時、イラクのモスル奪還時など、世界中で病院を開設し医療活動を行ってきた。この分野では多くの経験があるが、米国で臨時病院を開設することになるとは予想もしていなかったという』

 とのことです。

(参考)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200401-00010002-reutv-n_ame

 動画によるレポートを見ると、公園内に白いテントがいくつも張られ、その状況は、まさに戦時下の「野戦病院」のようです。

臨時の野営病院が設置された現在のセントラル・パーク(2020年3月31日撮影。写真:AP/アフロ)

幕末、セントラル・パークを歩いた日本の遣米使節団

 セントラル・パークは、ニューヨーク州・マンハッタン島の中央部に位置する全周約10kmの都市公園です。日比谷公園の21倍という広大な敷地内には、メトロポリタン美術館、セントラル・パーク動物園、回転木馬のほか、野球場やテニスコート、スケートリンクなどの運動施設もあり、ニューヨークを訪れた人なら誰もが一度はこの公園に足を踏み入れているのではないでしょうか。

 セントラル・パークが正式にオープンしたのは、1873(明治6)年、今から147年前のことです。しかし、その15年前にはすでに整備工事が始まり、1860年にはほぼ現在の公園のかたちが整っていたようです。