(柳原 三佳・ノンフィクション作家)
1月18、19日は、「大学入試センター試験」の日。受験生とそのご家族にとっては、緊張の2日間ですね。
この試験は今年が最後で、来年からは「大学入学共通テスト」という新しい名称で行われるそうです。
大学の入試制度は時代によって変遷しており、世代ごとにそのシステムが異なるため、「親世代も受験情報についていくのが精いっぱい」そんな声をよく耳にします。
ところで、そもそも大学受験というものは、いつから始まったのでしょうか。
幕末に米国のリベラル・アーツ教育を目の当たりにした佐野鼎
日本に初めての大学が設置されたのは1877年、明治10年のことでした。現在の東京大学です。
お手本となったのは、アメリカやヨーロッパの大学で、「リベラル・アーツ」と呼ばれる教養教育を基礎としたカリキュラムでした。
実は、「開成をつくった男、佐野鼎(さのかなえ)」は、幕末、日本人として初めてアメリカの大学を詳しく視察したメンバーの一人です。
1860年、遣米使節の随員としてフィラデルフィアを訪れた佐野は、この時点ですでに創立120年を迎えていたペンシルベニア大学を見学していました。そして、「リベラル・アーツ」の重要性を正しく理解していたのです。