「ハイジ」でおなじみ、チーズで作る気軽な家庭料理

冬の南ドイツは「ラクレット」を囲んで

2020.01.10(Fri)佐藤 成美
スイス南部ヴァレー州にあるツェルマットの街並み。

 ラクレット発祥の地はスイスの南部、ヴァレー州で、ドイツ語圏とフランス語圏にまたがる地域だ。山岳地帯に住む人が、たき火でチーズをあぶって食べたのが始まりである。歴史は古く、修道院に保管されている古文書には、1291年にすでに食べていたことを示す記録があるという。

 スイスに長く暮らした人がスイスの国籍取得を申請したとき、面接でラクレット発祥の地を答えられなかったために国籍が認められなかったという記事を見つけた。スイスのマクドナルドでは、ラクレットチーズバーガーも登場した。それだけ、スイス人にとってはなくてはならないソウルフードなのである。

ドイツでは「日本の鍋もの」のような位置づけ?

 ラクレットは、スイス以外にもドイツやオーストリアなどの地域でも広く食べられている。中でもドイツ南部に住むドイツ人はラクレットが大好きだ。クリスマスから新年にかけてのホリデーシーズン、すなわち年末年始にはラクレットをよく食べる。

 ドイツでは、クリスマスを盛大に祝うが、正月はさほどでもない。クリスマスには鶏料理などのごちそうのほか、伝統的なケーキ「シュトーレン」やクッキーなどをたくさん用意するが、正月の料理は特にないという。クリスマスの25日が過ぎれば、シュトーレンやクッキーなどを食べながら新年を待つ。

「正月は、仕事を半日休んで、友達や家族とパーティーをするぐらい」とドイツ南部レラハ在住のドイツ人マルクス・シュタルクさんは言う。そんな時期に人が集まったときもてなす冬の定番料理がラクレットなのだ。日本でなら、「今日はお客さんが来たので、鍋ものでもやろうか」という感じだ。

ドイツ南部レラハの街並み。(写真撮影:Mathias Berger)
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