「ハイジ」でおなじみ、チーズで作る気軽な家庭料理

冬の南ドイツは「ラクレット」を囲んで

2020.01.10(Fri)佐藤 成美

 マルクスさんのお宅でラクレットをいただく機会を得た。テーブルにはラクレット専用のグリルがセットされていた。四角い2人用のグリルだったが、4人用のものや円形の大型のものなどいろいろなタイプがある。固形燃料や電熱器で加熱できるしくみだ。「一家に1台」かどうかは分からないが、グリルをもつ家庭は多く、グリルさえあれば簡単にラクレットが楽しめる。

 グリルは2段になっていて、下の段には四角い小型のフライパンが2枚入っている。めいめいこのフライパンとヘラが与えられ、あらかじめフライパンの大きさに四角く切った専用のチーズを使う。フライパンにチーズをのせ、グリルに入れて数分待つと、チーズがぐつぐつと溶けてくる。フライパンを外し、ヘラでチーズをこそげ取り、具材にかけて食べる。チーズがとろりとしたところが好きという人もいれば、少し焦げ目ができてカリカリするくらいが好きという人もいて、チーズの溶け具合には好みがある。

 食卓でグリルを囲み、めいめい好みの溶け具合で熱々チーズを食べる光景は、まさしく日本の鍋ものを囲む様子と似ている。

酸味あるピクルスと相性よし

 具材はゆでたジャガイモがメインだ。ジャガイモを好きな大きさにナイフで切り、溶けたチーズをかける。熱々、ハフハフで口の中をやけどしそうだ。家庭によっては、グリルでいっしょに肉や野菜を焼き、それにチーズをかけることもある。チーズのままでもおいしいが、コショウやハーブの入った塩をかけると味にアクセントが出る。

 マルクスさんは「チーズには酸味が合うんだよね」と言う。ラクレットのお供はピクルスが決まりのようだ。食卓には、「ガーキン」とよばれる小型のキュウリや小タマネギ、ニンジン、カリフラワーなどのピクルス、それに瓶詰の焼きパプリカも並べられていた。パプリカは赤や黄色のピーマンに似た野菜で、ドイツではよく食べられている。甘くて酸味のある焼きパプリカもラクレットによく合っていた。パイナップルを付け合わせにするところもあるそうだ。

 チーズを食べ、ピクルスの酸味が口をさっぱりさせてくれる。そしてまた1枚とチーズを食べる。そこに冷えた白ワインを一口いただく。言うことなしの組み合わせだった。その夜用意してくれたチーズは一人当たり200g。そんなたくさんのチーズをマルクスさんはぺろりと平らげた。

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