モビリティ分野では、テクノロジーの進化とともに、法律の改正も近年盛んになっている。なかでも直近で動いているのが「第二種免許の規制緩和」だ。

「第二種免許は、タクシーやバスなど、営利目的で運転するドライバーに必要な免許。その取得を緩和する議論が進んでいます。背景にあるのが、高齢化による人手不足。自動運転などのテクノロジーと同様、やはりこの課題から法改正が検討されています」

 こう説明するのは、行政法を研究する國學院大學法学部の高橋信行教授。具体的に、どんな理由で規制緩和が行われるのだろうか。警察庁の有識者会議にも出席する同氏に、法改正の側面からモビリティの最前線を聞いた。

【前回の記事】「高齢ドライバー問題、日本の法律はこう変わってきた」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58449

國學院大學法学部教授の高橋信行氏。東京大学法学政治学研究科博士課程修了(公法)・行政法専攻。今まで、警察庁の第二種免許制度に関する有識者会議や高齢者講習に関する研究委員会などに参加し、現代の道路行政に関する問題へ研究者としての知見を提供してきた経験を有する行政法の専門家。

年齢と運転年数を引き下げ、講習を追加

――前回は、高齢者を対象とした第一種免許(普通免許)の法改正についてうかがいました。今回は、第二種免許の話を聞きたいと思います。

高橋信行氏(以下、敬称略) 二種免許は、一種免許と比べて取得までに厳しい条件が課せられています。旅客を乗せたり、料金を取ったりするのですから、当然と言えるでしょう。ただし、この取得条件のうち、受験資格について規制緩和の議論が進んでいます。背景には、やはり「高齢化」と「人手不足」の問題があります。