ウーバーの無責任な「ドライバー雇用」は許されない

IoT時代、<企業とギグワーカーとの雇用関係>が変わる

朝岡 崇史/2019.10.16

いいね ツイートする
ラスベガスでのウーバー・リフトの専用乗り場。CES期間中は割増料金になる(著者撮影)

(朝岡 崇史:ディライトデザイン代表取締役)

「ギグエコノミー」(Gig Economy)。それはインターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方や、それによって成り立つ経済形態のことを指す。

 ギグの語源は英語のスラングだ。本来は、さほど親密ではないミュージシャン同士がライブハウスで音合わせを兼ねて短い演奏をすることを意味し、それが転じて2015年くらいからインターネット仲介による「単発の仕事」というニュアンスで頻繁に使われるようになった。

 配車サービスを展開するウーバー(Uber)やリフト(Lyft)、民泊サービスのエアビーアンドビー(Airbnb)、キー・バイ・アマゾン(Key by Amazon)でハウスキーピングサービスを展開するアマゾンホームサービスのサプライヤー、日本国内でもクラウドソーシングでウェブデザインやコンテンツ制作などを行うランサーズやクラウドワークスなどはギグエコノミーの典型的な事例である。

(参考動画)キー・バイ・アマゾンのサービス: Amazon Key - October 2017

 最近のマッキンゼーの調査によれば、米国とEU各国では約6400万人が(必要に迫られてではなく、自らの選択で本業に加えて副業として)ギグワークを請け負っているという(参考:「ギグエコノミーの労働者が直面する5つの問題」Forbes Japan)

 それでは、ギグワーカーの中でも明確な本業を持たず、ギグエコノミー企業であるテック企業からフルタイムかそれに近い形で仕事を請け負う労働者は「独立請負人(フリーランサー)」なのだろうか? それとも、最低賃金や失業保険、労災・医療保険など福利厚生を保証される「企業の従業員」とみなされるべきなのだろうか?

 このグレーゾーンに対して明確な一線を引くだけでなく、ギグエコノミーの業界全体を大きく揺るがすことになる法案が、2019年9月10日、米国のカリフォルニア州の上院を通過した。ギグワーカーの権利を守るための法案、「カリフォルニア州下院法5号」(Assembly Bill 5、以下「AB5」)がそれである。この法案は同9月18日にガビン・ニューサム州知事が署名したことにより、2020年1月に発効することが正式に決まった。

 IoT時代、<企業とギグワーカーとの雇用関係>が変わる。

ギグエコノミー企業を厳しく監視するAB5

 AB5には、「労働者を独立請負人に分類することは、中産階級の空洞化、そして所得の不平等の大きな要因となってきた」とギグエコノミーのダークな側面が指摘、明記されている。