自動運転の導入が「終わりの始まり」になるリスク

 そして、さらなる頭痛の種はウーバーの近未来の成長戦略に関わることだ。

 ウーバーは自動運転技術の開発ではグーグル系列のウェイモと並んで最先端をひた走る企業の1つだ(2018年に不幸にもアリゾナ州テンピで死亡事故も起こしたが・・・)。

 ウーバーの自動運転タクシーのプロモーションビデオでは、自動運転技術が実用的かつ魅力的なテクノロジーとしてライドシェアサービスに導入される近未来の日々が描かれる。しかし、そんな近未来の到来は、既存ドライバーとの雇用契約を年に数十万人という単位で解消しなければならないという冷徹な経営判断を迫られる可能性が高いということを意味する。

 その時にドライバーが「独立請負人」でなく、「従業員」もしくは「実質従業員」だった場合、膨大な退職金や失業保険の拠出が必要になるし、そのために今から計画的に膨大な引当金や掛け金を積み増す必要も出てくる。

 自動運転テクノロジーへの継続的な投資と、「従業員」という資格を法律で保証されたドライバーとの雇用関係打ち切りに伴う膨大なキャッシュの吐き出し、というダブルパンチは、それが一過性の出費として短期で終わらないだけに、ウーバーにとってはワーストシナリオに陥るリスクを内包している。

ギグエコノミーは草創期から成熟期へ

 最近、マスコミを賑わわせたシェアオフィス大手のウィーワーク(WeWork)のIPO取り下げのニュースなどを読むにつけ、ギグエコノミー企業が「テック企業」という看板だけで規制を逃れたり、株式市場での評価額が実力以上に高まったりする風潮はどうやら時代遅れになりつつあるようだ。

 つまり、ギグエコノミー企業であっても所詮、企業の経営の担い手は生身の人間であり、ギグエコノミーの成熟期においては法律による規制、経済学や経営学の原則、社会的責任に対するステークホルダーによる監視の目から逃れることはもはや不可能なのである