両社は自社のドライバーを「独立請負人」に分類しており、今回の法案に反対するロビー活動を続けてきたとされる。

 ウーバー、リフトは呉越同舟して「反AB5」の共同戦線を張っただけでなく、やはりサンフランシスコを拠点にフードデリバリーサービスを展開するドアダッシュ(DoorDash, Inc.)を誘い込んで、それぞれ3000万ドル(約32億4000万円、1ドル=108円)ずつ資金を拠出、2020年に州民投票を行って、ドライバーをあくまでも「独立請負人」として位置づける活動を続ける計画を発表した。

 またこれに加えてウーバーは、ドライバーがあくまでも同社にとって「独立請負人」であるとの立場は変わらないと強調しながらも、ドライバーに対して最低賃金を保証し、引き継ぎ可能な年金を与えるだけでなく、ドライバーたちが「団結して発言する」ことを可能にする柔軟な枠組みを作ろうとしていることを表明した(注:AB5は団結権にまでは言及していない)。

 そもそもウーバーが2009年にトラビス・カラニックとギャレット・キャンプによってサンフランシスコで最初の産声をあげた時、既存のタクシー業界に対する利用者のペインポイント(不満や怒り)をマッチングアプリで一気に解決することで社会的な支持を獲得したという歴史的経緯がある。「領収書を発行しない」「メーターを倒さず法外な料金を請求する」「意図的に遠回りをする」「室内が汚い」「運転が荒い」など旧態依然としたサービスを改めないタクシー業界は、今や全米で土俵際まで追い詰められた状態だ。

 そんなウーバーが、行政の後出しジャンケン的な規制強化によって、創業からちょうど10年の節目に守勢に立たされてしまったのは皮肉といえば皮肉である。

ドライバーの大半はフルタイムの“プロフェッショナル”

 仮にウーバーにとって大きな経営戦略上の読み違いがあったとすれば、自社でもコントロール不能な規模と勢いで、ギグワーカーであるドライバーが増殖してしまったことではないか。

 ウーバーのドライバー数の推移についてきちんとした統計は公表されていないが、例えばニューヨーク市では2015年に1万2500人だったウーバーやリフトのドライバーが2018年7月には8万人を超えたとされる。ビル・デブラシオ市長が2018年の8月に、ウーバーやリフトなどのドライバーの新規雇用を暫定的に制限する法律に署名したことは記憶に新しい。

 ニューヨーク市では長く既存のタクシー業界のドライバーの数が1万4000人レベルで横ばいだったことを考えると、ウーバーやリフトがタクシー業界を駆逐しただけでなく、急激な過当競争激化によって、ライドシェア業界自体も客の奪い合いに血眼になっていることが容易に想像できる。