そして、以下の3つの条件(ABCテスト)のすべてを満たさないギグワーカーは「独立請負人」ではなく企業の「従業員」と分類されることとなり、最低賃金や労災保険などの給付が義務付けられることが州法で明確に定められた。

(A)労働者が雇用主のコントロールから自由であること
(B)労働者が雇用主のコアな事業以外の仕事に従事していること
(C)労働者が雇用主と同じ分野の仕事を独立して行っていること

 この基準は、運送フランチャイザー企業のダイナメックス(Dynamex)社の契約労働者1099名の待遇を巡る裁判で、2018年にカリフォルニア州の最高裁が採用した「ギガワーカーが独立請負人か否か」の判断基準をほぼそのまま踏襲しているとされる。

 実際、同法案を起草したロレーナ・ゴンザレス議員は「世界最強水準の経済圏として、カリフォルニアは他の州や国の規範となるべく、労働者保護の世界標準を設定しようとしている」と熱く意気込みを語っている。

 ギグエコノミーの本質は企業による「搾取経済」を許容するものではなく、企業が柔軟な働き方の実現によって生産性向上を図ったり、国境を跨いだ幅広い人材の活用を促進したりするものであるべきだ。しかしながら、足下の現実を注視すれば、一定数以上のギグエコノミー企業は、オペレーションコストの削減を目的に、いわゆる「独立請負人(フリーランサー)」を大量に雇い、フルタイムの契約であれば企業の「従業員」として当然受けられる権利を彼らに提供せずに実質的にフルタイムの仕事をさせ続けているというのは残念な状況だ。

 AB5の発効によって、グレーゾーンを確信犯的にすり抜けてきたギグエコノミー企業は、今後、社会の厳しい監視の目に晒され、軌道修正を余儀なくされるだろう。

 全ての企業はそこで働く人たちの権利を損なうことなく、持続可能な方法で事業を成長させなければならない──。この考え方は、「サステナビリティ」(国連が定めるSDGsなど)や「パーパス」など企業が果たすべき社会的な責任とも整合するものだ。

ウーバーのドライバーは独立請負人か従業員か?

 このAB5の影響をまともに受けるのが、ライドシェアの両雄、共にサンフランシスコで創業し、今年(2019年)になって揃って念願のIPO(新規株式公開:以下IPO)を果たしたウーバーとリフトであることは想像に難くない。