「備蓄食にもなる宇宙日本食を作れないか。そこで宇宙でも、災害時も活用できる新たな食のカテゴリを作る『BOSAI SPACE FOOD』というプロジェクトをワンテーブルさんと立ち上げ、プロトタイプ(BSF1.0)が完成しました。現在、ワンテーブルさんは宇宙日本食の申請手続きを進めています」(JAXA J-SPARCプロデューサー 菊池優太さん)

JAXA J-SPARCプロデューサー 菊池優太(きくち・ゆうた)さん。

 宇宙日本食は、基準のひとつに1年半の保存期間が求められ、挑戦する食品メーカーから「かなり厳しい」という声も聞く。だが、ワンテーブルの防災ゼリーは5年間保存可能であり、保存期間に関してはクリアしていると言える。

 現在、BSF1.0は2種類。「LIFE STOCK」エナジータイプとバランスタイプだ。エナジータイプは100gで200kcal(おにぎり約1個分)あり、結構お腹がいっぱいに。

「宇宙飛行士の声を聞くと、忙しいときにぱっと食べられて必要なエネルギーが得られ満腹感があるものが欲しいというニーズがあった」(菊池さん)

 このエナジータイプを現在、宇宙日本食に申請中だ。災害直後も極度のストレス環境下にあり、エネルギーが不足する。そのため、エネルギーを補給しつつ、適度な甘みを加えた。

 そして一回り小さいのがバランスタイプ。エナジータイプに比べてカロリーを抑え、栄養バランスを考慮している。

「国立栄養研究所で、災害時に必要な栄養など国の基準作りに参加されている専門家にメンバーに入っていただき、中身を作り上げました」(島田さん)

 JAXAや各専門家と議論を重ね、中身や配合を検討し、ともに作り上げてきたという。

ワンテーブルとJAXAが開発した「BOSAI SPACE FOOD」プロトタイプ(BSF1.0)。左からエナジータイプ グレープ味とペアー(洋なし)味、右がバランスタイプ。

「食べてみてください」と島田さんに促され、まずエナジータイプから。水分豊富でのど越しがよく食べやすい。そして、見かけよりずっとお腹にたまる。グレープ味の甘さで疲れもとれる。食べた後は、切れ端をパックの中に入れて、コンパクトに処分可能。

 そして、バランスタイプは純粋においしい! 体にビタミンが行き届く感じ。仕事柄、昼ご飯を食べる余裕がなくて、駅でゼリー食を買うことも多いが、栄養バランスが宇宙滞在者向けに考えられているという安心感がある。