これらは米軍が指摘する「接近阻止/領域拒否(A2/AD)」戦略を引き続き追求するとともに、米軍の脆弱点を突く、宇宙、電磁波、サイバー、無人兵器、AIなどの新領域、新装備での非対称戦を挑み、「新たな戦略的高地」における優位を獲得しようとする、戦略構想を反映している。

 その意味では予想通りの装備であり、特に驚くべきものはないが、既定の戦略に沿った装備体系が、着実に進歩を遂げていることは明白である。

 極超音速の滑空飛翔体とみられる「DF-17」、各種ドローンなど、米ロに先駆けて実戦配備しているとみられる兵器も登場している。

 しかし、そのような強大な軍事力でも抑止できず統制が可能か不安を感じさせる内外情勢が迫っている。それが、習近平主席の憂慮の理由ではないだろうか。

困難の度を増す内憂外患

 習近平主席は、軍事パレードの演説において、「社会主義の中国は今日、世界の東方に屹立し、いかなる勢力も我が祖国の偉大な地位を揺るがすことはできない」とし、中国共産党による独裁体制下での成果を誇示し、その地位の堅固さを強調している。

 また反中デモの続く香港については「一国二制度」を維持するとし、中台関係については「両岸関係の平和的発展を進め、祖国の完全な統一のために引き続き奮闘する」と強調している(『読売新聞』2019年10月1日夕刊、同10月2日)。

 これらの言葉の背景には、内憂外患への危機感がある。

 米国のドナルド・トランプ政権は、対中貿易戦争を発動し、中国の軍民両用分野での先端技術と経済面での覇権を許さないとする姿勢を強め、米議会では超党派で反中政策を支持する声が高まっている。

 第19回党大会報告でも基本戦略の一つに、「一国両制と祖国統一の堅持」が謳われている。特に祖国統一のための台湾問題については、「(台湾同胞と)共同で、偉大な中華民族の復興の実現のために奮闘する」としている。

「一国二制度」を拒否し対米接近を強める台湾の蔡英文政権への警戒心は高まっている。蔡英文総統の再選を阻止することが、中国共産党にとり、当面最も重視すべき両岸政策であろう。

 他方、香港では10月1日も「(今日は)国慶節ではなく、国に哀悼を捧げる日だ」「中国共産党は消えろ」と叫ぶデモ隊を、5000人の警察官を投入しても鎮圧できなかった。

 警察官がデモに参加していた高校生に至近距離から実弾を発砲し、高校生が重傷を負うという事件も起きている。