習近平氏は2012年11月の党総書記兼党中央軍事委員会主席就任時に「軍事闘争準備が最も重要であるとの立場を堅持する」と表明している。

 それ以来、反腐敗闘争を名目にして、権力闘争を進め独裁権力の確立に腐心してきた。軍に対しても徹底した腐敗一掃を要求し、郭伯雄、徐才厚らの江沢民派を粛清してきた。

 また2015年頃から軍改革を断行し、30万人の兵員削減を唱え、これまで軍の利権構造の核心であり汚職腐敗の元凶となってきた、四総部(総参謀部、総政治部、総装備部、総後勤部)制と隷下の7個軍区制を解体した。

 代わって、中央軍事委員会内部の機能的な15の中央幕僚機関とその隷下に統合軍である5大戦区が編成された。

 その結果、軍事制度上は、中央軍事委員会主席が、地域統合軍となった5大戦区を、「堅固で強い戦区聯合作戦指揮システム」を通じて、直接指揮できることになった。

 2017年10月の第19回党大会において、党規約に「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」という文言が盛り込まれ、習近平氏の独裁色が強まった。

 2018年3月の全人代では、憲法第79条第3款の「国家主席と副主席の任期は2期を超えてはならない」との規定が改正され、国家主席の任期制が廃止された。

 第19同党大会での習近平報告では、「中華民族の偉大な復興という中国の夢」を実現するための14の基本戦略が示された。

 その筆頭には、「すべてに対する党の指導の堅持」が掲げられ、「党の人民軍隊に対する絶対指導の堅持」「全面的に厳格に党を管理することの堅持」も挙げられている。

 また同党大会報告で明示された「中国の特色ある強軍への道」では、「精神的に優れた「革命軍人」の育成」および「人民軍としての特性と本質の保持」が冒頭で謳われている。

 強軍のため、軍のプロフェッショナル化、軍務への専念が要求され、軍が民間の営利事業に関与し、あるいは軍人が副業をすることも、厳しく制約されるようになった。

 規律維持のための法令の整備と遵守、「依法治軍」も強調されている。ただし、法令は党の意向に沿い定められ、司法の独立性はなく、党による軍に対する統制のための一手段と言える。

 半面、規律強化に伴い、既得権を奪われた退役軍人の不満をなだめるため、「退役軍人の管理保証機構の構築」などの処遇改善施策もとられている。

 このように、習近平主席の独裁権力、特に軍に対する指揮統率権は、毛沢東に次ぐほど揺るぎないものに、制度上は強化されてきた。