鹿児島県屋久島にあるトロッコ用の線路

 山口県岩国市の小中学校で「スクールカウンセラー」が担当する「学級活動」の時間で行った授業が「問題」であるとされ、親からクレームが寄せられ、両校の校長が「授業内容を確認していなかった」として、児童生徒の保護者に文書で謝罪したとの報道がありました。

 私はこの報道の内容に多くのレベルで大変強い疑問があります。かなり末期的なものも感じました。

 先にポイントを記すなら「授業に不安を感じている」とクレームを寄せた親のリアクションが、まずかなり「不安」であること。

 さらにそれに対して「授業内容を確認していなかった」と答えた学校サイドのリアクションに対しても同じような不安を覚えます。

 では、事前に「授業内容を確認」して検閲、削除していればよかったのか、と問われれば、そこで止まる程度に、場当たり的な対応にしか見えません。

 一体何が「問題」とされたのでしょうか?

 スクールカウンセラーが授業で子供たちに問うたのは「トロッコ問題」と呼ばれる、世界的に広く知られた、本質的に重要な問題でした。

 これは、例えば自動運転車の安全アルゴリズムを考えるうえで、義務教育レベルを含めあらゆる次世代国民が必ず考えなければならない、AI時代、IoT時代の基本的な厳しい問いにほかなりません。

 全国民が学ぶべきである理由は、あらゆる人が歩行者として自動車・自動運転車と関わらざるを得ないことだけからでも明らかでしょう。

 この問題の源流を「白熱探訪」してみましょう。