8月10日に怪死したジェフリー・エプスタインとの関係で大いに揺れるマサチューセッツ工科大学(MIT)、前回は、メディア・ラボの伊藤穣一前所長の疑惑と辞任に触れましたが、もう一つ、大いに問題になっているポイントがあります。
すでに故人ながら、具体的な固有名詞が上がっているアカデミシャンにまつわる性的な「疑惑」です。
渦中の中心人物はマーヴィン・ミンスキー(1927-2016)という、超ノーベル賞級といっても過言でないコンピュータ―科学のパイオニアであるため、話が穏やかではありません。
そこでまず、「ミンスキーとは誰であるか」から話を進めていきたいと思います。
AIの父
マーヴィン・ミンスキーを紹介する言葉として、生科学者でSF作家のアイザック・アシモフが「自分より聡明な人物」として名を挙げた2人のうちの1人(という逸話が語られます。
(もう一人はカール・セーガン)
著名人を2人並べた印象が拭えず、このエピソードには眉唾くささが感じられますが、ミンスキーが飛びぬけてスマートな人物であったことは間違いありません。
1927年ニューヨークで生まれ、第2次世界大戦末期に軍役に就いたのち、ハーバード大学で数学を学び、1954年プリンストン大学大学院で「囚人のジレンマ」などによって知られる数学者アルバート・タッカーのもとで博士号を取得しました。
ちなみに博士論文査読官の一人はコンピュータ―の生みの親、ジョン・フォン・ノイマンであったそうです。
1958年から2016年に逝去するまで実に58年間、マサチューセッツ工科大学で教鞭を執りました。