マティス氏は返す刀でこうも言っている。

「米国は南シナ海における航行の自由を堅持する。中国がこの海域に軍事施設を作っていることは許せない」

「一言で言えば、公海は公海だ(International waters are international waters)ということだ」

 マティス国防長官の登場が、中国首脳部を緊張させたことは言うまでもない。今も国防長官だったならば米中関係はどうなっていただろうか。

欠かせない同盟国への尊敬の念

 本書でマティス氏は「直接のトランプ批判は避けた」と書いた。が、末尾にはこんなくだりがある。

「私は(国防長官を辞めたことで)今混乱状態の中で燃え上がる領域を後にした」

「一体化した戦略がないために我々は混乱状態の中を漂流し、我々の友(同盟国)は困惑している」

「国家とは同盟国とともに栄え、同盟国を失えば滅びる」

「指導者の役割は必ずしも論客の役割とは一致しない。指導者にとっての戦略的洞察力とは何か」

「困難に直面した際、我々と共に戦ってくれる他の国(同盟国)に対する基本的な尊敬の念を伴わなければ意味がない」

 マティス氏が就任後真っ先に日本に飛んだのはまさに同盟国・日本への尊敬の念があったのだろう。

 日本はともかくとしてトランプ大統領の韓国に対する対応、北大西洋条約機構(NATO)に対する居丈高な対応を見るにつけ、このマティス氏の記述はトランプ氏への熾烈な批判であり、警告と言える。